昨年、静岡市で冠婚葬祭業を経営する『アイネット』より発行している季刊誌編集の方より「お守り」についての取材があり、その内容が[あいネットプレス]Vol.67 2012新春号 に掲載されました。
送って頂いた冊子の掲載の一部分ですが御高覧下さい。
冊子には静岡市の寺社仏閣のさまざまな御縁を頂ける「お守り」が掲載されています。
明けてましておめでとうございます。
平成24年の年頭にあたり、皆様方の御多幸を御祈念申し上げます。
写真は新年の本堂内外の荘厳風景です。
五色の幕・寺紋の幕で飾られた本堂。内陣の天女が舞う金襴の水引・柱巻きの奥に観音様が祭られています。
そしてその廻りには16人の羅漢様の掛軸・奥の床には郷土の南画家・高橋雲亭画伯が当山で描いた子供と遊ぶ布袋様の掛軸が飾られます。
十六羅漢図は県内のとても由緒ある寺院にあった品で、明治六年にその寺から功績のあった末寺に贈られた奥書が記されています。昭和50年代に古道具店で出会い支払いに苦労して手に入れ、その後、傷んでいた表装を5年かけて直したもので、寺宝として永く保存もらいたいと願っている品です。
又、高橋雲亭画伯の布袋図は戦前当山で画伯の画会が開かれたおり、当時の住職の希望で安産・子育てにちなんで子供を何人もあやしている布袋さんが描かれたと聞いています。
描かれてから常に掛けられていた為か傷みが酷くなり、再表具して現在は正月のみ飾っている一品です。
境内の庭木の剪定が始まりました。
夏の施食会前と暮れの恒例事業です。
京都で修行して、静岡市にもどり農家を継いで庭師として活躍している職人さんに永年任せています。
ろくに肥料は与えていませんが、刈り込んだ枝木を見ると毎年よく伸びるものだと感心すると共に生命力の強さに驚きます。
おかげで綺麗になりました。
しかし、『諸行無常』・・・・・・。のこの世界。
昨年から葉が落ち始め残った枝も今年の夏の暑さの為でしょうか?
樹齢100年を超えていると思われるモミジの木がついに枯れてしまいました。
現在の地に移るまで庫裡等の改築の為1~2回 その地を移り、その度根付かないかもしれないと心配しましたが毎年春の新緑、秋の紅葉で楽しませてくれました。
鉄棒の代わりとして子供たちが遊んだ木でした。
ある時、この木を見つめる中年の男性がいました。声を掛けてみると小学校の時に養子にいった産女の檀家さんの関係者で、彼にとっては生まれ育った時の思い出の木。
まさに「思い出のクリーングラス」の唄の世界で、本当に懐かしいと何時までも見つめていました。
ですからこの木への愛着は大きく檀家さん達も通るたび気にかけていましたが、如何ともし難く、本年中に切ることとなりました。
残念です。
切った後のモミジ、何かの形で残したいなと思案中です。
2月8日は成道会(じょうどうえ)
苦行によって『生老病死』の苦悩は解決しないと解った「お釈迦様」は苦行林=山を出られ、菩提樹のもとで静かに坐禅を組まれました。そしてついに真理に目覚められたと伝えられています。
このことに因み、寺では12月に入ると床に写真の出山釈迦図を掛ます。
この掛軸の話をしたときにある方からこんな質問がありました。
「出山(しゅっさん)の釈迦と云いますが、お釈迦さんは男性ではなかったですか?それとも産女観音は安産の札所と云うことで特別な軸が伝わっているのですか・・・・?」
どうもその方は出山(しゅっさん)を出産と勘違いしていたようで・・・・・。
面白い顔で漫画的なこの軸の作者は江戸後期、東京の豪徳寺から彦根の清凉寺(共に井伊家の菩提寺です)に住職された寂潭俊龍[じゃくたん しゅんりゅう]和尚で独尊道人と号しました。
誰謂世尊浄法身
見来偏體着埃塵
豈懐昔日諭城日
箇為凡夫毛道人
豪徳独尊道人焚香写
誰か謂ふ世尊浄法身と
偏體を見来れば 埃塵を着く
豈に懐わんや 昔日 城を諭するの日
箇 凡夫 毛道人 為り
と読んでいます。
お釈迦様が菩提樹の下で目覚められたことを悟と云い、様々な和尚様がそれぞれに目覚められた悟りについてを言葉で書き表して説明しています。たとえば道元禅師様は眼は横に鼻は縦になっていることが解ったと述べています。
ですが、悟ったからといってその人が別人・超人・超能力者になるわけではありません。
私達は文字を見たり聞いたりして、頭でそれを理解しています。悟りとは頭では無く、からだ全体でわかること、体が理解することだと云います。
例えば初めて食べる料理の味はいくら言葉・文字で説明しても正確な味は伝わらず、食べて初めてその味が解ると云うことでしょうか?
悟りという料理がどんなものかも知らない、ましてその味について解る訳もない私が成道会にあたり駄文をつらねました。乞お許しを。
花は西王母の白の椿と土佐水木を添えてみました。
本日、当山の親元・総代として永い歴史を有する牧野家の法要があります。
御当主の御両親のそれぞれ50回忌・33回忌が嚴修されます。
生憎の雨
でも私には『よく集まってくれました。今日はゆっくり昔話をして休んで下さい』と亡き御霊が云っているような気がします。
忙しい農作業の時期の合間に今日の準備をしてきた御家族に暫時の休息を授けてくれたのかもしれません。
牧野家は歴代の住職を物心両面で支え、私の晋山式にも親元を御務め頂き大変御世話になっている家です。
先代が諸堂を整備を済ませませたので私の仕事は現在の寺の什物・建物を如何にベストな状態で未来へ残していくかということ。
近年始めた整備事業に賛同頂き本堂の内部を飾る欄間彫刻の修復復元に御協力賜りました。
立川流の作品と伝えられている両面彫りの松・竹・梅・獅子の欄間は虫食いとネズミに齧られ傷んでいましたが、おかげで写真の様に立派に修復されました。感謝・感謝です。
御来山の節は是非、御高覧下さい。